2015年 08月 25日(火)
代表小林より、設立10周年の御礼とご挨拶
私たちモンキーマジックは、視覚障害者へのフリークライミング普及と障害者自立支援や相互理解の深耕を目的に、2005年8月25日に東京都の認証を受け、NPO法人としてよちよちと歩き始めました。
代表理事の私がフリークライミングに出会ったのは16歳。
28歳で進行性眼病を発症し、モンキーマジックを設立した時は37歳でした。
障害を持つ・持たない、双方の世界からクライミングを見てきた私は「クライミングを障害者に伝えることは絶対に大きな価値がある」と確信し、暑苦しいほどの情熱と共に活動を始めました。
しかし設立当初、医療・教育・リハビリなど、さまざまな視覚障害者支援施設にその価値を伝え、プログラムに取り入れてほしい、私たちの教室を告知してほしいと頭を下げて巡りましたが、「岩登りなんて、そんな危ないことは障害者にさせられない」と、門前払いの日々が続きました。
試行錯誤を繰り返しながら、情熱ばかりを訴えるだけでなく、社会が必要とするカタチを考え、伝える情報の順番や方法を変えてゆくことで、少しずつ氷が溶けてゆくように、私たちの活動も少しずつ社会に受け入れてもらえるようになってきました。
また、昨今の「ボルダリング」ブームは、クライミングが誰にとっても身近なものとなった10年間の大きな変化といえ、私たちの活動の理解促進に貢献してくれたといえるでしょう。
この10年という時間の中で、まずは「視覚障害者にクライミングを普及する」ことから始まり、その後活動の目的が「障害者クライミングの普及を通じて多様性を認め合うユニバーサルな社会の実現」と、変化・成長を遂げてきました。
クライミングは、障害の有無、年齢性別や運動経験を問わず、その人が今持っている能力を用いて、自分の目標に向かって岩や壁を登るスポーツ。
基本的に勝ち負けや優劣はなく、集う人々は、互いに自分と向き合う気持ちを共有し、声援を送り、ときには悔しがり、喜び合う。そこはまさに多様な人々が認め合う「ユニバーサルな社会」の縮図だと考えます。
また、日本でも2014年に批准された、国連の障害者権利条約によれば、「障害は個人ではなく社会にある」との考え方が基本にあると言います。これから始まる「次の10年」、私たちは、私たちなりの答えを探しながら、障害者クライミングの普及を通じ、誰もが元気に笑顔で暮らせる、多様性を認め合える社会の実現を目指し、前に進む努力を惜しまない所存です。
この10年の間、参加をしてくれた障害当事者とそのご家族、医療・教育・リハビリなど支援従事者、支援企業、プログラムの参加やサポートグッズを通じて関わって下さった皆様、そしてクライミング指導者の方々、本当にたくさんのお力添えがあったからこそ、私たちモンキーマジックはここまで歩むことができました。
改めまして、ここに厚く御礼を申し上げます。
ありがとうございました。
私たちだけでは出来ないことがあまりにも多く、これからも皆様のお力添えを賜り、躍進して参りたいと思っております。
どうぞ引き続きましてのご支援のほど、改めてお願いさせていただきますとともに、活動へのご注目をお願い申し上げます。
2015年8月25日
特定非営利活動法人モンキーマジック代表理事 小林幸一郎